で、今日マガジンの発売日。
前の記事(エリアの騎士はオフサイドか否か)の解答が連載される日なわけです。
■僕のトリックのネタ予想
オフサイド新ルール「オフサイド判定は受け手がボールに触れてから」を利用したトリックプレー
■解答編ストーリー
駆はボールには一切触れておらず、ボールの軌道に合わせて走っていただけ。駆が触れてボールの軌道が変化したように見えたのは、ボールに強力な回転がかかっていたため、バウンドした際に変化した。駆がボールに触れていない=プレーに関与していないため、これはただのロングシュート。オフサイドではない
はっはっは。
ここまで寸分の狂いも無く当たると興ざめしてくる・・・。
ただ、おかげでより一層これはオフサイドだという確信が持てました(笑)
というわけでこのプレーを解析してみましょう。
その前にオフサイドルールの確認。
fanta君がコメントにわかりやすいまとめをしてくれたのでまんまコピペw(まあ探せば同じのがどっかにあったんだけど)
■反則になるケース
ボールが味方競技者によって触れられるかプレーされた瞬間にオフサイドポジションにいる競技者は、次のいずれかによって積極的にプレーにかかわっていると主審が判断した場合にのみ罰せられる:
●プレーに干渉する、または
●相手競技者に干渉する、または
●その位置にいることによって利益を得る
■積極的にプレーとは
● プレーに干渉するとは、味方競技者がパスした、または味方競技者が触れたボールをプレーする、あるいはこれに触れることを意味する。
● 相手競技者に干渉するとは、明らかに相手競技者の視線を遮る、または相手競技者の動きを妨げる、またしぐさや動きで相手競技者を惑わす、あるいは取り乱させると主審が判断し、それによって相手競技者がボールをプレーする、またはプレーする可能性を妨げることを意味する。
● その位置にいることによって利益を得るとは、既にオフサイドポジションにいて、ゴールポストやクロスバーから跳ね返ってきたボールをプレーする、または既にオフサイドポジションにいて、相手競技者か
ら跳ね返ってきたボールをプレーすることを意味する。
ここで、駆のプレーが相手競技者に干渉しているかどうかだけど、
それは下記参考資料を見てください。
参考資料1
参考資料2
※ともにJFAより
・オフサイドポジションの競技者の位置や動きが相手競技者のプレーに影響を与えている、と副審が判断したとき旗を揚げる。
・オフサイドポジションの競技者が単にボールを追うことは、プレーではない。また守備側の競技者が単に相手を追走することは、自然の行動であり、オフサイドポジションの競技者が影響を与えているわけではない。
・「相手競技者への干渉」の解釈
オフサイドポジションの競技者がプレーするためにボールを追うことで、相手競技者との身体的な接触の可能性があると判断される場合は、オフサイドとして罰せられる(副審の旗〜主審の決定)。
駆は単にボールを追いかけていただけなので、そういう意味では「相手競技者への干渉」はないという解釈なのだと思います。
余談ですが、なんかこんがらがってきますね(笑)「しぐさや動きで相手競技者を惑わす」っていうのは一体どういう意味なんですかと(笑)たぶん、「単にボールを追うことはプレーではない」という"限定的解除"をしているので、それ以外のプレーのことを言うのかと思います。つまり、オフサイドポジションにいる人間のスルーとか。これは「プレーした」とみなされてオフサイド判定になるということかもしれません。実は、これは「ボールに触れる」と「プレーする」の違いにも関係しているのではないかと、僕は踏んでいます。
さて、ここからが論点なのですが僕はなぜ駆がオフサイドだと思うのか。
論点はたった一つで、考え方は意外に簡単なのです。
「オフサイド判定は受け手がボールに触れてから」という新ルールの基本概念ですが、駆はボールに触れてない以上これはクリアしているわけで、ここはもはや論点ではない。結論を左右するのは、前回僕が挙げた追加事項の方なんですね。
その他の味方競技者がボールをプレーする可能性がないと主審が判断した場合、ボールにプレーする、あるいは触れる前に罰せられる。
参考資料:4プレーに干渉する
ここが論点。これが成立するか否か、なんですね。
この観点から行くと、駆は来たボールに向かって走っていて、明らかに他の味方競技者がボールに触れる可能性が無いので「ボールをプレーする可能性がある」という判断が成立する。=オフサイドですね。しかも、この追加事項においては「触れる前に罰せられる」ということですから、前ルールと同じく「パスが出た瞬間」がオフサイド判定のタイミングなんですね。故に、理論的に言うと駆はパスが出た時点、尚且つボールに触れる可能性のある味方が周りにいない時点でオフサイドの判定をくだされるべき。
マンガ内での反論は「触れていないからロングシュート」ということなんですが、これは同じくfanta君のコメントにある「パスかシュートかはオフサイドには関係ない」ということなのだと思います。しかし、パスかシュートかは関係ないとなると、例えば味方がオフサイドポジションにいて、後方からゴールネットを突き刺すようなロングシュートが放たれた場合もオフサイドになるのか、という懸念が僕にはあったのですが、それも結局「積極的にプレーに干渉しているかどうか」という観点で全てを判断する、ということなのかなと思います。
というのも、確かに自分が今までサッカーをやってきてシュートだからパスだからということでオフサイド判定が変更になることはなかったのですね。で、これも考えてみれば簡単な話なのです。強烈なシュートだろうがなんだろうが、そのボールにオフサイドポジションにいる味方が干渉すればオフサイド。例えば、ゴールの左側にいて強烈なロングシュートが右側に決まった場合、圧倒的なスピードのボールに、たとえオフサイドポジションに味方がいても、その味方は反応して走ることはできないでしょう。ということは「プレーに干渉できない」ということなのですが、それはつまり「プレーに干渉できない=プレーに干渉する意志がない」という判断になり、オフサイドではなくなるのだと思います。逆に言えば、オンサイドポジションからどんなに強烈で矢のようなミドルシュートを打っても、その先のオフサイドポジションに味方がいて体を投げ出してボールに突っ込んでいれば、これはオフサイドとなるということですね。
というわけで、これではっきりしたと思います。
駆はその他の味方競技者がボールをプレーする可能性がないと主審が判断した場合、ボールにプレーする、あるいは触れる前に罰せられる。に違反しているため、オフサイド。
意外に、新ルールの根幹は関係なかったんですね(笑)
それにしても、漫画の作り込みとして荒すぎますよねえ。
モリエンテスさんが指摘したオフサイドルールの改正と、漫画の時間軸が大幅にずれていたり(これは実は僕も気付いていました)、ぶよぶよのデブがたった二週間でホッソリしたスポーツマン体型になって戻ってきたり・・・。いくら漫画とはいえ無茶が過ぎる。部活スポーツをなめてるのかなと思いますね。このオフサイドルールを使ったトリックにしても、結局浅はかな知識をひけらかすようなストーリーにしたばかりに、ボロが二つも出てる。
ダメですねえ・・・。
でもまあ、オフサイドの勉強にはなりました(笑)