自分の食べるものぐらい適当に調理することはできますけどね。
でも、ちゃんとした名前がある料理はできません。できないっていうと「やればできる」と言われるので、正確には作り方を知らない、ですね。
でもまあ、なんちゅーか発想だけで適当には出来る。自分が食べるだけなら満足なものは出来ますね。
だがしかし、世の中には奇特な人がいるもので、そんな僕のテキトー料理を「おいしい」と言ってくれる人がいて、それがまあ彼女さん。いや、別に自慢でものろけでも無いですよ(笑)いくら褒められても、嬉しいことは嬉しいけど「よし!じゃあ料理ドンドン頑張ろう!」とは思わないですから。根本的に好きなものではないんでしょうね。
作ったのはあんかけ丼。
まあ、だから”あん”だけですよ。片栗粉があれば簡単に出来ます。野菜を煮込んで、味を調整して、ベースの味を決めるだけ。味噌か醤油か塩か。これに僕なりの発想を加えるとカレーとトマト。あとは、入れる野菜やお肉、シーフード。これのバランスで味が変わるぐらい。煮込むと味が出るようなものが影響大ですね。簡単簡単。始めて作った時は一から十まで、全部思い付きです(笑)
料理って、物作りの全てが凝縮されてるなぁと思うんです。技術もいるし、センスもいるし、知識もいる。経験もいる。物を作り出すってことはそういうことであり、1番大事なのは実は「気がきくかどうか」なんですよね。世の中にある使いやすいものって、ユーザーの視点で作られていて「気がきく」じゃないですか?
だから、料理の上手い人って、コミュニケーション能力が高いと思うわけです。コミュニケーション能力というのは「喋れる」ではなくて「相手に伝えられる」という意味で。
相手がどんな味覚を持っていて、好きなもの、嫌いなもの、空腹具合、価値観、食べやすさ、食べにくさ。だから、技術があればいいわけでもないし、センスがあればよいというわけでもない。技術も知識もセンスも、全ては相手に何かを伝えるためのツールでしかなくて、目的は「気をきかせる」ことなんですね。
僕の母は、料理の技術は高いです。それようの学校に通って調理師免許も持ってますから。でも、なんでもウマイかというと、否。美味しいと感じるものは、たいていレシピ通りに作ったもので、まずいと思うのはオリジナルのもの。
もう、感覚が理解できていないという感じ。たとえば、チンジャオロースとか“あんもの”が入っていた小皿に、切ったリンゴを入れてしまう。ものっすご気持ち悪いですよ(笑)リンゴがドロドロですから。料理の組み合わせにしても「それとそれを組合せるか?!」なんてことはザラです。
要するに相手の立場にたった考え方ができないんです。だから、これは料理に限ったことじゃなくて、会話にしてもそう。道を説明するのに誰もが知ってるコンビニではなく、スーパーローカルな有会社を出してしまう。決まって、僕がフォローしますが(笑)
だから、僕は知識もセンスも0でも、うまいものがつくれたりもしちゃうわけです。僕だけがおいしければ良いわけだから、可能なんですね。彼女さんが美味しいと言うのは、味覚が似ているのと、僕が理解している相手だから。
だから、誰でもが美味しいと言えるものが作れる人は、それだけ経験と知識とそして「相手を理解する能力が高い」からできるわけです。凄いなぁ。しかも、料理にかかる時間も大事だし、コストも重要な要素。
ほら、同じ。
物作りも同じなんですよ。
世の中(その場)にいる、
ユーザー(食べる人)は、
何を求め、それを作るには、
いつまでに、
どうやって(技術や方法)、
いくらで、
作らなきゃいけないのか。
これを実現するには、決定的に必要なものがあるのです。それは、
「美味いものとは何なのか」
これを、いくつ知っているか、なんです。世の中にあるうまいものをどれだけ知っているか。それを知っていれば、新しい相手に会ってもすぐに「こんな料理がいい」と出てくる。引き出し、なんていいますけどね。
いま、僕はWebサイトという物作りの現場にいて、ヒーヒー言ってます。引き出しがないからです。足りない足りない足りない。
でもね、Web業界で、本当に「物作り」をしているのって、大手ではたぶんウチだけなんですよ。中小制作会社を含めてもたぶんほとんどないですね。お金かかるから。そら、クリエイターですから。
どこの制作会社も作ってるのはWebサイトです。サイト構造決めて、デザイン決めて、かっこよくブランディングして。でも、それは「物作り」じゃないんですよ。ただ動く絵を書いてるだけ。
「我々はWebサイトを売ることが仕事じゃない。Webを媒介としたソリューション(問題解決)を売ることが仕事なんだ」
「何もないところから、ビジネスのツールとして役立つものを作る」
良いWebサイトって何なのか。
=良いサービスって何なのか。
引き出し、足りなさ過ぎなのも仕方ないんだよね(笑)
でも、引き出し、増やさなきゃ。
そして「気付き」を大切に。
「気のきく」人は「気付き」をたくさん持ってますから。
これは、全ての職業に言えることかもしれません。
「気のきく人」ですか?
成果はここのみで計られる、でしょうね・・・(汗)