2006年11月30日

教育再生委員会。

いじめ緊急提言 厳しい教育現場の声「アメとムチ」


続発するいじめ事件に関し、政府の教育再生会議が29日、緊急提言をまとめた。焦点の一つとして、いじめを放置・助長した教員に懲戒処分を適用することを求めた。一方で、いじめ対策への取り組みを教員評価につなげるよう提言。努力した教員にはアメを与えるとも受け取れる内容だ。

うわー、ほんと正直バカじゃねぇのって思いますね。
問題の本質が見えてないというのがありありとわかって面白いですね。
こんなんでほんとに教育が改善され、いじめがなくなると思っているのだろうか。
というか、そこに人間がいる以上いじめがなくなるわけないのに。

根本的な話ですが「問題の解決方法」として、そもそもが間違っていると僕は思いますね〜。なんというか、ただただ事故が起きたからより警戒をっていうだけ。「事故が起きた。お前らしっかりしろ。これからはしっかりしなかった奴は懲戒処分な。しっかりできた奴は評価する」って言ってるだけ。そんなの、問題の内容を見なくても誰でもできるし誰でも言えますよ。

起きた問題への対処として僕が一番大事だと思うのは「現状を正確に把握して、そこを原点0として考えること」だと思っています。簡単に言うと現実を受け入れるっていうことですね。ミスや事故が起きた時に「しっかりしろ」っていうのは、誰でも言えるんですよ。友人関係や遊びならそれでもかまいませんが、仕事や組織はそれじゃダメ。結局何にもかわらない。だって、当人だってしっかりやろうとして起きたことなんだから。

例えば、歩くペースが他の子よりどうしても遅い男の子が、帰宅時間が遅くなってしまう。心配するお母さんが「もう少し早く歩いて帰るようにしなさい」と注意されて、男の子も言われたとおりに気をつけて歩くけれども、やっぱり中々帰宅時間は変わらない。ある意味で、そういう子なのだから仕方がないという見方もあって良いはずだけれども、安全面を考えるとそうもいかない。そこで、お父さんが「お前、歩くの遅すぎるぞ。これからは10分早く帰るようにしなさい。そうしたらお小遣いをあげよう。でも5分でも遅れたらお小遣いを減らすからね」と言えば、男の子は早く帰れるようになるかというと、それは無理でしょう。だって、お小遣いが貰えるぐらいでできるなら、お母さんに注意された時点でやっているでしょう?(笑)

こういう問題に直面した時は、まず現実を受け入れることから。「この子は、ともかくこのままでは早く歩くことができない」というところを、問題の原点にしてそこから考えないといけない。そして、「じゃあ歩き方が悪いのかもしれない休日に一緒に歩いてみよう」「歩いてくるルートが悪いのかもしれない」「友達と一緒に帰らせて、ペースを合わせて帰らせるみようか」という選択肢が出てくる。単純に言うと「歩くのが遅い男の子」を現有戦力として考えて、そこから「では、いかに戦力を増強するか」というのが問題解決なのですね。ここでお父さんがやっているのは「もっと力があるのに出していない」という、現有戦力を現実のものとして受け入れずに発している注文になるわけですね。


上の教育の話も同じ。
先生たちは皆怠け者なんですか?っていうことなんですよ。
問題に直面した時に「お前らがダメだからこうなる。しっかりしろ」じゃ何も変わらない。「今もっている戦力ではダメだった」という所から話を始めないと、何にも解決しない。そこから、問題はどこにあったのか、現有戦力のどの部分が足りなくてどのように戦力をつぎ込むのか、もしくは余剰戦力部分を精査し、足りないところへ補充するのか。大事なのは「今抱えている教師をいかに使うか」であって「教師がダメだから」というのは現実から逃げているだけでしょう。

中には、頭がキレて人間性もあって勉強も出来て精神力もあって指導力もあってという、スーパーな先生もいると思います。そういう先生はきっとこのハードルを乗り越えて高い報酬を得ることができるのかもしれません。でも、全国小中高等学校に星の数ほどいる先生方が皆が皆そんなスーパーな人材なわけがない。もしそうなら、ヘッドハンティングされてますよねぇ(笑)

早い話が、問題解決というカテゴリでの対処を考えた時、その結論は「凡人でも誰でもできる」というところに落ち着かせないといけないんですよ。じゃなきゃ、全体を変えることは無理じゃないですか?
この提言にしても、先ほどの例え話のお父さんの注文にしても、「問題解決への対処」ではないんですよね。あれは「現状からの発展方法」なんですよ。「現状からの発展」っていうのは極端にいうと現状のままでも大きな問題はないんですね。そこから、「さあ、よりよくするにはどうしたらいいだろう?」っていう時の対処方法。「出来ない人はそれなりでかまいません。でも、できる人はもっと頑張ってください。そうしたら、その分の報酬をお出しします」っていうことなんですね。これは、全体のレベルアップにはなれど、底辺の底上げには繋がらない。問題というのは、底辺から抜本的に変えないといけないわけですから。

もっと、現実を直視して建設的な方法を見出して欲しいものです。
それはどう考えても、先生をより締め付けるということではないと僕は思います。
posted by 総さん−ソウサン− at 18:38| ☔| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

教育再生会議の提言 役人の作文
Excerpt: 教育再生会議の提言 役人の作文  道路公団民営化推進委員会、郵政民営化委員会、経済財政諮問会議、教育再生会議などなどとさまざまな分野で政府または役所は民間から委員を集めているが、いったい委員は誰がど..
Weblog: ある女子大教授の つぶやき
Tracked: 2006-11-30 21:33
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。