2006年05月25日

ジーコの戦術論に未来はあるのか。

ジーコ監督明言「豪州戦は3バック」

オーストラリア相手に3バックとはまた大胆な・・・。
というか、3-5-2なら絶対に危ないし5-3-2は自分達を否定することから始まるシステム。
それでいいのですかジーコさん。

■3-5-2と4-2-3-1の長所短所
システム対システムで捉えたとき、これほど相性の悪いシステムも無い。
3-5-2にとって4-2-3-1とは天敵のようなもの。

サイドの攻防で完全に後手に回るから。
そして、3-5-2の構造的欠陥と思われる両ウィングバックの裏(3バックの両脇)ココを執拗に突こうというのが4-2-3-1のコンセプト。これほど恐ろしい話も無いでしょう・・・。

3-5-2も4-2-3-1も、どちらもサイドアタックを狙うシステム。
違いは、攻撃時のセンターと中盤の厚さ。
3-5-2はそこを欲張ったシステム。両サイドの比較的高い位置に人を配置しつつも、中央にも人を置きたいため、2トップ。そして、中盤を薄くするのも嫌なのでサイドの人材を中盤に配置したシステム。当然、そのしわ寄せはどこかに出るわけで、3-5-2の場合はそれがDFラインに顕著に出てしまうということだ。

一方4-2-3-1にはその様な不安はない。
4-2-3-1の弱点は3-5-2の真逆で、1トップのため攻撃時の中央の枚数の少なさと、両サイドが攻撃的に出た場合、中盤が薄くなるということ。

■3-5-2vs4-2-3-1
このシステムがぶつかればどういうことが起きるか。
4-2-3-1は中盤での攻防を出来る限り避け、
両サイドへピッチを広く使う戦略で敵陣を崩しにかかる。
もちろん3-5-2だって、サイドに張り出した選手がいるわけで
そこで衝突になるのだが、しかしこの勝負はすでに始まった時点でアンバランスな状態だ。
4-2-3-1のサイドハーフorウイングは背後にもう一人サイドバックがいるおかげで守備を気にする必要は無い。勇猛果敢に敵陣にチャレンジし、突破することこそが彼に課された命題。

そこへくると3-5-2のウイングバックには背後にも前方にも味方は常駐していない。基本的にサイドはこのウイングバック一人に任されているのだ。そのため3-5-2のアウトサイドには「敵サイドとの綱引きを有利に展開できる人材」が必要とされるが、仮にこのアウトサイドが敵4-2-3-1のウイングを凌駕する実力を持っていたとしても、そのウイングの後ろにもう一人サイドバックが控えている。これでは歯が立たない。そこでもたつけば、自チームは自分の背後を常に高い位置で虎視眈々と狙っている敵ウイングの餌食となってしまう。

3-5-2のウイングバックは常に後手を取らされるはめになる。
そして、同じ11人でサッカーをやっている以上、どこかの人数を削れば、別のどこかに人が余るはずなのだが、この余り方が良くない。3-5-2の3バックはスイーパー+2ストッパーの組み合わせで基本的に中央に位置しているが、ココで人が余る。敵4-2-3-1のFWは一人しかいないのだから、事実上「3対1」となる。これはいくらなんでも無駄に人員を割きすぎだろう。

・3-5-2vs4-2-3-1のまとめ
つまり、4-2-3-1は3-5-2の長所であるサイドアタック(サイドに張り出したウイングバック)と中央での守備(センタDFが3人)を無効にし、最大の弱点である「3バックの両脇」を執拗に狙えるシステムなのですね。

・日本の両サイド
このシステムを持って、サイド戦線の矢面に立たされるのがご存知、三都主と加地。
この状況で彼らが、特に加地が、あの絶好調時はバロンドール候補者の常連だったハリー・キューウェル(出場が微妙な様だが)を相手に有利な状況を作れるだろうか。不安で仕方が無い。

■3-5-2での対応策
無論、無いことは無い。
もはや定石となった対応策。
両ウイングバックを守備的な位置に下げて、スペースを埋めるという方法。これはつまり3-5-2→5-3-2とするということ。まず間違いなく、どんな相手でも守備の計算は立つだろう。そう簡単に失点はされない。ただ、このシステムは攻撃の威力が半減することに目をつぶらなければならない。

思い出して欲しい。
我らが日本代表がこの戦術を用いた時のことを。
フランスW杯本戦。
トルシエジャパン時代のスペイン戦(正確には5-4-1だが)。

「1vs1では敵を止めることが出来ない」
この5-3-2の戦術的論拠の第一歩は自分達の力を否定するところから始まっている。初出場だったフランスW杯は仕方あるまい。世界の舞台で本当に戦ったことがあるのは誰一人いなかったのだから。トルシエ時代は「フラット3」に「完全オートマチック攻撃」とその戦術の根本から「日本人は1vs1では歯が立たない」というものだった。

中田英はジーコジャパン発足当時こんなことを言っていた。
「組織として戦いそれに没頭するようでは2002より上へはいけないのではないか。今与えられたこの自由をもっと理解し各々が自分で考え戦っていけるようにならなければここから先の道へはいけないと思う」
我らが日本代表はその「無個性サッカー」からの脱却を図るためにこの4年間戦ってきたのではないのか。そのためにジーコはフィールドに立つ"息子達"に「自由」を与えてきたのではないのか。

それをこの大本番にきて、オーストラリア相手に自分達を否定し「3人のFWに対して5人で守る」という方法をとるのかジーコさん。この戦い方に、日本代表の未来はあるのだろうか。どうしても、時間を逆戻りしているようにしか見えない。

8年前とはあまりにも状況が違う。
4年前とも違う。
ヨーロッパに飛び出た猛者が何人もいる。
ドイツを舞台に戦っている男もいる。
ドイツは決して「未開の地」ではない。
全員が全員大活躍というわけではない。
しかし、それはオーストラリアも同じだろう。
キューウェルは怖い。ビドゥガも怖い。
しかしこちらにだって俊輔がいるじゃないか。小野がいるじゃないか。中田がいるじゃないか。ビドゥガを相手に3人で挑まなければならないほど、海外行きを断ってまでW杯に臨む男を信じられないのか。

相手はブラジルじゃない。
オーストラリアなんだ。W杯の成績だって芳しくない。
事実上初出場に近いようなもんだ。
そして、オーストラリアは今大会以降、同じアジアの枠を競う相手となる。
そのような相手に、なぜそんな臆病な戦術を取るんだジーコよ。

攻撃に出たとき、少なくとも守備が頭にある三都主の出足はまず遅れるだろう。基本的に両サイドが引いていることを考えれば、攻撃は自ずとトップ下とFWの3人で守備後の第一陣を繰り出すこととなる。中村俊輔はロナウジーニョではない。動き回り、周りにいくつものパスコースを用意しながら、局面局面で魔法を繰り出し、敵陣にギャップを生み出す。5-3-2では、まず間違いなくフランスW杯の中田の様に、ピッチに立つ大半の時間を「孤立」して戦うことになるだろう。

大きな大きな大会の初戦。
慎重に行きたい気持ちは良くわかる。
5-3-2という選択もわからないでもない。
現代表が「負けない戦い」をしようと思ったらその結論になるのも理解できる。

しかし、現代表が「本来の自分達の姿」を見せてくれたその多くは4-4-2だった。現代表が「3バックの方が理解度が高い」なら、だったらなぜ、なぜ今の今まで4バックを試してこなかった。敵国を想定したキリンカップでどうして試してこなかった。もしキリンカップから試していれば本番までに4試合もあった。

あなたの戦術に、我ら代表の未来はあるのですか?


posted by 総さん−ソウサン− at 17:09| ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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