なんとも評価の難しい試合でしたねえ。
楽観できるような、悲観するべきなような。
とりあえず、優勝候補の一角(?なのか?)とされるドイツに(相手の)ホームで2点先制したこと、引き分けたことは好意的な評価を下してもよいと思います。特に、ホームで1年半前にボコボコに叩きのめされた相手ですからね。
以下雑感。
■3-5-2なのか5-3-2なのか
結局どっちにするつもりなんでしょうか。
要するに「ひいて守る」のか「ラインを高く保つ」のか。
このドイツ戦は結果的に序盤はラインは低かったが、しかし中盤でプレスをかける意識はあったため、ラインを敢えて下げているというよりは前回の対戦同様、中盤のプレッシング能力の差で押し込まれているという方が適切かと思う。ともかく、自陣でもドイツはなかなか自由にしてくれない。
あっぷあっぷした時間が続きましたね。
こういう時左右の入れ替えや上下の入れ替えのしづらい3-5-2は本当に局面打開をしづらいシステムですね。3-5-2っていうのは、サイド、トップ下、そしてスイーパータイプにストッパータイプと「スペシャリスト型」のシステムなので、各所で1vs1に負け続けていると機能しないです。
3-5-2でチャンスを作っていた時間は、ほぼイコールで中田や中村が個人技や軽妙なパス交換でプレッシングを掻い潜り輝いていた時間。そして、何より駒野。加地と違い、運動量をベースにした守備で対抗するのではなく「攻撃を持って綱引きをする」というスタイルに打って出た彼は良いパフォーマンスを見せました。彼が5-3-2ではなく3-5-2と捉えるべきポジショニングやチャレンジを行い、高い位置で基点になれたからこそ(あのシュバイシュタイガーに守備をさせたのは素晴らしい)、センターの二人が輝いたのです。
やっぱり、このシステムは高いラインを保ってプレスをかけ、中盤のサイドに起点をつくれなければ機能しない。しかし、ではそれで4-2-3-1で打って出てくるであろうオーストラリアに対抗できるのでしょうか・・・。3バックの両脇のスペースをどう解決するつもりなんでしょうか・・・。矛盾が尽きないですね。
■加地
本当に残念。
技術は無いし、フィジカルも取りわけ強いわけでもない。
突破力も無い。しかし運動量をベースにしたサイドバックとしての動きは、彼は良いと思います。古き良きサイドバックですね。駒野が良い動きを見せてくれたので、スタメンが変わるのは問題ありませんが、バックアップがいない。「駒野がいるからよかった」で済まされる問題ではないでしょう。このまま加地が戻れないなら、我が代表は本大会を目前に未曾有の危機に晒されているということになる。加地を怪我により登録メンバから外し、誰をいれるのか。国内にタレントがいないことはない。横浜の隼磨、FC東京の徳永、鹿島の内田・・・。しかし、現代表との折衝を済ませているタレントがあまりに少なすぎる。現在でもっとも現実的なのは浦和の山田か。それにしても、久しく代表に呼ばれていない。なんとか復帰してもらいたい。
■田中誠
これはもっと痛い。
なぜ茂庭なんだよジーコ。
あなたは算数も出来ないんですか。
茂庭を呼ぶのは坪井か中澤が使えなくなったときでしょ。
もし宮本が出場停止や怪我で使えなくなったら一体誰がラインコントロールをするんだ・・・。DFリーダー唯一のバックアップが田中誠だったはず。代わりに呼ぶなら松田か闘莉王を呼ばないと・・・・。
■中田
良かったは良かった。けれど、不満も多い。
まず、素晴らしいパスの本数と比例するかのように、ボランチではやってはいけない不用意なパスが多い。縦への意識が強く、それこそがボランチ中田の長所でもあるが、無理に縦へはたくあまり、はたいた先で潰されてピンチになることがある。バイタルエリアより若干前方、センターサークル手前のエリアで俊輔から落とされたボールを、真横に抜けた俊輔に縦に返し、俊輔は潰されてボールを奪われた。あれは、確実にそのまま一度サイドへはたくべきだったと思う。
また、ボランチのエリアで不要に球をこねすぎている印象を受けました。そこで削られてボールを失う場面を何度か。これはあってはならない。まわりにパスコースがなかったのかもしれませんが。思うに、球際の攻防、激しい守備や体を使ったプレス、縦へボールを送る意識は中田は高いが、ことレジスタとしてリズムをつくり効果的に球を配給するセンスは小野に軍配があがると思う。やはりこの位置は小野がみたい。4-4-2なら実現するが・・・・。
■大黒
正直なところ、ちょっと不安だ。
決定的な場面を二つ外した。決定的な場面を二つ外したことが問題なのではなく、大黒という根っからの「ゴールゲッター」が外したことが問題。玉田や柳沢が外すのとは意味が全く違う。フランスに渡ってからというもの、どうも彼らしくない外し方をしているように僕には見える。以前なら絶対外さなかったものを外す。調子が悪いのか、感覚が鈍っているのか(同じことか)。
中田からのスルーパスで中央を抜けた一回目のチャンス。それまでのボールを呼び込む動きは見事だった。あれは止めたレーマンを褒めるべきかもしれない。
二度目。
俊輔のクロスを中田が丁寧にヘッドで折り返したボールを大黒は決められなかった。彼のようなタイプのFWはあの場面は絶対に決めなければならない。「フィジカルが弱くてやられている」という評をみたが、それは違う。そもそも彼はフィジカルで売っているFWではない。しかも、中田が折り返してから、彼はおの一部始終を全て視界に捉えていたように見えるし、ボールも良くも悪くも"落ち着いて"捉えていた。ただ、落ち着きすぎた。あれは、単純に背後にせまるDFが見えていなかったのだと思う。きっとインザーギなら決めているだろう。
そして、日本が誇るゴールゲッター、ゴン中山なら背後のDFは敏感に感じ取りきっと無理やりにでも体の一部に当ててゴールを決めていただろう。大黒には彼に共通する「動きの質の高さ」「そこにいる第6感」が備わっており、そして中山にはない基礎技術の高さがある。しかし、まだ彼の域には達していないということか。まあ、大黒には「スキラッチ」という大先生がいなかったのだから仕方あるまいか。なんとか、あの決定力を復活して欲しい。
続きは後ほど。